大学を卒業してから約7年間、私は老舗の機械専門商社で海外営業職として慌ただしい毎日を送っていました。
主な業務は海外メーカーとの交渉や輸入手続き、国内クライアントへの機器納入フォローであり、世界を舞台にビジネスを動かすダイナミズムには大きなやりがいを感じていました。
しかし、社内文化が非常に保守的で紙書類やFAXを中心としたアナログな運用が色濃く残っており、業務の非効率さに強い不満を抱いていました。
さらに、年功序列の評価制度により、どれだけ新規開拓や売上貢献を果たしても評価や給与に反映されにくい仕組みに疑問を持ち始めました。
自分のスキルをもっとデジタルで効率的な環境で発揮し、成果が正当に評価される成長企業で挑戦したいという強い思いから、私は転職を決意することにしました。
しかし、いざ転職活動を始めてみると、そこには想定していなかった大きな壁が立ちはだかりました。
グローバルな業務経験と営業実績には十分な自信があったため、最先端のIT企業やSaaSベンダーを中心に手当たり次第に応募を行ったのですが、書類選考すら通過しない厳しい現実が待っていました。
従来の業界とIT業界とでは求められる専門用語やビジネスモデルの構造が大きく異なり、職務経歴書に書いた実績が異業界の採用担当者にとって魅力的に映っていなかったのです。
不採用の通知が何通も届く中で、これまで築いてきた商社でのキャリアが外部では評価されないのではないかという強い焦りと不安に苛まれ、一時は転職そのものを断念して現職にとどまるべきか深く悩みました。
現状を打破するために、私は転職エージェントのアドバイスを受けながら、自分の職務経歴とアピール方法を徹底的に見直すことにしました。
単に「海外営業の経験」や「語学力」を強調するのではなく、プロジェクトを推進する際の問題解決能力や、複雑なステークホルダー間の調整力といった汎用的な「ポータブルスキル」に焦点を当てて再構築しました。
また、独学でIT業界のトレンドやSaaSビジネスの指標について学び直し、商社時代のアナログな業務プロセスをどのように改善したかという具体的な改善実績を数値化してアピールできるように準備しました。
異業界の課題に対して、自分の経験がどう即戦力として貢献できるのかを具体的に提案する面接対策を行った結果、少しずつ選考を突破できるようになりました。
その結果、最終的に東証プライム上場の急速成長しているIT企業から、グローバル展開を推進する事業開発職として無事に内定をいただくことができました。
現在の職場では、前職で培った交渉力や多国間でのプロジェクト管理スキルを存分に活かしながら、効率化されたデジタル環境のもとで生き生きと働くことができています。
努力や成果がダイレクトに評価やインセンティブに繋がる文化も非常に心地よく、大きな達成感を実感しながら日々の業務に邁進しています。
従来のキャリアの枠にとらわれず、自分の強みを正しく見つめ直して諦めずに挑戦を続けたことが、私の人生を大きく切り拓く最良の機会となりました。
